2013年2月7日木曜日

1年経っても...

今日2月7日は、先日ちょっと触れた先代ワンコの一周忌でした。
またもやSPYとは関係のない話で恐縮ですが、ボクのこの10数年の生活の中で大きな存在だった彼女のことを、いつかどこかで忘れないうちに書き留めておかなければ、と思っていたのでした。
彼女の死にも触れなくてはならないので、そういうのがキライな方は読み飛ばしてください。
それでは...

アーニーという仔


先代のワンコも今のアーニーと同じくヨークシャーテリアの女の子でした。
彼女がうちにやってきた訳も今回と同じように、当時まだ結婚前だった、奥サンの実家で飼われていたワンコが亡くなったからです(その子はイヴという名前でやっぱりヨーキーの女の子でした)。

ペットロスという言葉があります。家族であるペットを失った時になる精神状態ですが、奥サンもかなりその状態に近かったと思います。
代わりを求めるというのでもないでしょうが、うちで一緒に飼ってみないかという話になりました。
といってもどちらかと言えばボクの方が乗り気だったような。

近場のブリーダーで条件の合う方を探していたところ、世田谷区のブリーダーさんで「実は1頭キャンセルになった仔がいて、その仔だったらすぐに会わせられる」という方がいました。
若干シーズンオフだったため、とりあえず見にいってみようということになり、ブリーダーさん宅をお邪魔しました。

抱かれてやってきたのは、生後4か月、ちょっとトウがたっているせいか黒い毛がモシャモシャのつぶらな瞳の女の子でした。ソファーに招かれて抱かせてもらったんですが、怖そうに震えているくせにボクの膝の上で寝てしまいました。

まあ、そんなんされたら即決です。後日引き取りに来る約束をしてその日は帰りました。
「名前を決めなきゃね」
いくつか候補はでていたのですが、ふと目に留まったのが一枚のタオル。ボクが現役のころ使っていたあのギターのおまけでついてきたタオルで「Ernieball Musicman」とでかでかと書いてあります。
「アーニーボールからとってアーニーとか?」
未練があったわけでもないんですが、何気にそういってみたところ、
「アーニー? かわいいかも。響きがいいね」
奥サンも気に入ったようで、めでたく?その名前に決定しました。
実は人間ではアーニーは男性の愛称という説もありますが。

病弱なお嬢様

迎えに行ったその日、帰り道だったこともあり奥サンのお姉さん宅にお披露目に行きました。いきなり大勢の知らない人に囲まれて腰を抜かしてしまったようで、「ひょっとして脚に障害でもあるんじゃないか」と疑うくらいしばらく動きませんでした。
その後、「ひょっとしてこの子、声が出ないんじゃないだろうか」と疑うくらい鳴きませんでした。
なにせ「自分(達)」で子犬を飼うというのが初めてだったもので、色々心配してしまいます。

しばらくして、何かのきっかけで初めて声をだしたのが
「お」という、まるで人間が下手なものまねをしているような声でした。

「えーー、何今の」 思わず二人して笑ってしまいました。
その後もその一風変わった鳴き声が彼女のトレードマークになったのでした。

このアーニーという子は、トイレのしつけもすぐに覚え、お手もおすわりも一通りすぐに覚えて、そのくせ伏せだけはプライドがゆるさないらしく絶対にしない、一人で留守番してるときも一切いたずらをせず、おしっこも我慢してずっと待っていて、でも出かけるときに誰か一人でも席を外すと途端に落ち着きがなくなってきょろきょろ探し回り、無駄吠えは一切せず、人間は大好きで犬は大嫌い、むしろ自分が人間だと思っている節があり、普段はおとなしいくせに旅行先の犬用プールに入れられると誰に教わることもなくいきなり泳げたり、うちの急な階段を駆け上るぐらい運動能力があり、いきなり剽軽なアクションを見せて笑いをとったり、ペロペロ魔で...

とにかく利口で飼いやすい子でした。
親バカですね。よく言われます。

ただ、手がかからないかというとそんなことは決してなく、しょっちゅう病院の世話になっていました。

まず、うちに来て早々にケンネルコフ(仔犬がかかる病気でセキが止まらなくなる)を発症しました。これがかなり厄介で、完治するまでに2~3か月病院に通う日々が続きました。

そして、4歳を超えたころ、てんかんの発作がでるようになりました。始めは車で移動していた時のこと、いきなり目をむいて体中つっぱる発作がでたのです。暑い夏のことだったので熱中症にでもなったかと思っていました。さいわい発作はすぐに収まったのですが、その後も何度か繰り返すようになったため、病院に連れて行ったところ下された診断がてんかんでした。
原因は不明です。一生薬を飲み続けなければならなくなりました。1日2回、水で溶かした粉薬をプラスチックの注射器で飲ますのです。当然本人も嫌がるし、こちらも手間がかかるのですが、発作を起こした時の可哀そうな姿を思えば欠かせるわけには行きませんでした。
ただ、それほど症状が進むこともなく、2か月に一回程度の頻度で済んでいたのは不幸中の幸いだったかもしれません。

他にもケガや病気で入院することも何度もありました。ペット保険様々だったのですが、その保険が料率の改定を行ったとき、ヨークシャーテリアのランクがいきなり跳ね上がったので、ひょっとしてコイツのせいじゃね?と言って笑ったりもしました。

自然、我が家の中心はいつもアーニーになっていました。外食しても気になってすぐに家に帰る。
そんな日が続いたのです。

忍び寄る老い、突然のお別れ

10歳を超えたころでしょうか。散歩のときは速足で人についてきていたのが、疲れ果てたかのようにトボトボと歩くようになってきました。表情はいつまでも若々しく、パッと見には老けたような感じはしなかったんですが、毛も薄くなり、歯もほとんど抜けていきました。

それでも、口ではおばーちゃんといいつつも、まだ何年も一緒にいれる。老いたなどと考えたくない、そんな話題は自然と避けるようになっていました。

おととしのクリスマス。奥サンの実家に皆集まるというので、アーニーを連れてお泊りをしました。
その夜中のことです。しゃっくりというか、痰がつまって吐き出せないように咳き込むことを繰り返し、空気を吸い込みすぎておなかがパンパンに腫上りました。むりやり吐かせると大量の泡。

その後何日か繰り返すようになったので、年末間際に病院へ。幸い、数年前に自宅のある建物の一階がなんと動物病院になっていたため、年末年始も休みにも関わらず先生に診ていただくことができました。その甲斐もあってか、正月明けには一応症状が治まったように感じられました。

しかし、その後食事をしても泡と一緒に吐き出すようになり、ひどいときには水を飲んでも刺激で吐いてしまうように。胃酸を抑える薬や抗生剤などいろいろ試したのですが、どうにも治まらない。
やがて一時期は3キロ近くあった体重が半分の1.5キロを割るようになってしまいました。
50キロの人間でいえば25キロ以下になったようなものです。当然筋肉もなくなり、一人で立つことも、最後には寝返りをうつことすらできなくなりました。

それでも、生きる気力だけはあったのでしょう。吐いて苦しむのはわかっていても食事は必ず食べ切りました。それでも足りないので点滴を打つのですが、そのときは症状も軽くなっていた気がします。

こうして今冷静に振り返ってみると、まさしく終末期の看護でした。だけど、なぜだかその当時は回復することを疑ってすらいませんでした。「今回のはしつこいね」って言うくらい。
今までも、何日も入院することがあってもその度に生還し、いつもと変わらない元気を取り戻していたからでしょうか。今度もすぐによくなる。そう思い続けていました。

その日は突然やってきました。
ちょうど一年前の今日、仕事帰りにいつものバスにのり、この信号が青になったらバス停というところで奥サンから電話がかかってきました。
「様子がおかしいの。だめかもしれない」
冷静さを装っていましたが、声色が尋常じゃありませんでした。
バス停到着。ダッシュで家に飛び込むと、妻に抱かれたアーニーの目は瞳孔が開き、舌が口からはみだし、ピクッピクッと痙攣していました。

「脱水症状を起こしてるのかもしれない」
まだ、信じられなかったんでしょう。水を口に注ぎこんだり、好物だったプリンを押し込んだりしました。我ながら冷静なつもりが錯乱状態だったのかもしれない。
そうしているうちに、脚が冷たくなっていきました。
その日は皮肉なことに下の病院の休診日でした。
「先生に電話してみる?」と妻に問われましたが、さすがにこれは無理だと思いました。

「ありがとうね。今までありがとう」
声をかけ続けていると、ふと、目がこちらを向いた気がしました。

「すごい子だよ。あなたの帰りをちゃんと待ってたんだもん」
妻に言われました。
その後、1時間でしょうか2時間でしょうか。ゆっくりと消えていくように静かに旅立っていきました。

動物の死というのは、ヒトと違って堪えます。たぶん言葉が通じないせいでしょう。いつもいつも後悔の念にさいなまれる。
うちは共働きです。あの子の一生のたぶん半分以上は一人でさみしく暮らしていたことになります。
彼女ははたして幸せだったんでしょうか。誰もわからないのがつらいところです。

それから

彼女がいなくなって、半ば茫然自失の毎日を繰り返す日々、あるとき奥サンが偶然ホームセンターのペットコーナーで地元の友達(中学から一緒で仲がいいグループの一人でした)と会ったそうです。そして、偶然にも飼っているトイプードルの女の子を交配させる予定なのだとか。もういい歳なのでこれが最後のつもり、とも。
「これは運命の出会いだよ」
声をかけてくれたことに感謝しつつ、できれば女の子がいいな、とあつかましくも注文をつけていました。そして1か月後、生まれてきたのはなんと4匹全部男の子!
結局、生まれたての姿をみたら性別などどうでもよくなるものです。

こうしてまず、のちのアルルがうちにやってくることが決定しました。
そして、引き取りに行く前にいろいろそろえなきゃ、と近所の出来立てのペットショップにいたのが、
2代目となる現在のアーニーです。もう一目ぼれ。とにかく目がくりっとしてて元気いっぱい。そして、どことなく先代に似ているような気がしたのです。

そうこうしている間にも、奥サンの姪っ子(これがまた先代アーニーと同じ年生まれ!)がギターを教えて欲しいというので、本当に何年かぶりにギターを引っ張り出し、練習用の曲を打ち込むためにパソコンを新調し、なんか曲でも作ってみるかな~などと漠然と考えているうちにかかってきたのがKazuyoからの一本の電話でした。

なんだろう。運命という言葉を出すとちょっと違うと思うのだけれど。
前にSPYをやめたあと、すぐくらいにやってきて、再び動き出す前に去って行った。
そんな、なんだか不思議な気がしています。
少なくとも、音楽に別れを告げて離れていたこの10数年。この時間はまさしく彼女のためにありました。

ながくなりました。なんとか今日のうちに書き終えることができそうです。

あにたん、ありがとね。



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